あとがき
約4年ぶりの長編。まさか千歳を書こうとは。正直自分でも驚いています(笑)
ですが、思い返せば四天で夢として好きになった最初のキャラは千歳だったので、こうなったことは必然かもしれません。
本当に本当に難産で、いや毎回苦しんではいるんですが、今回はとびきり苦しんで書いたといいますか……。
迷走しすぎで、お話させていただく機会のあった方々に「ねぇ、千歳ってさ、」とかたっぱしから聞きまくったのも書き終わればいい思い出です(笑)(その節はご迷惑をおかけしたみなさま、ありがとうございました)
原作より少し大人になった千歳はもっと困った、しかしとてもいい男(これまた困った)に成長しているんじゃないかな、という願望が今回の出発点でした。
放浪癖がワールドワードになり、自然と語学が堪能になった千歳……かっこよくないですか??
その経験値で大抵のことはなんでもできてしまいそうな安心感……かっこよくないですか??
まぁ、恋人にするとなると多々問題が起こりそうで、よほど肝が据わったタイプじゃないと無理かな? と思い、今回のヒロイン像をつくっていったのですが、肝が据わったというよりちょっと感性のズレた子みたいになってしまいました。あはは。
来る者拒まず去る者追わずな千歳が本気に……意外とこういうタイプが狙いを定めたら展開早くて、逆に周りが驚いていたりするのもいいかな、というか。追いかけられるより追いたいタイプだといいなって!
ただ、そういう風にわりと器用にひととの関係を構築できる彼も、自覚なく実は慎重なところがあるような気もしているんですよ。
けして橘さんとのことがトラウマになっているわけじゃないけど、なににも執着しなさそうな自由さは、大切なものをつくってそれがいつか失われることへの恐怖心かなっとも感じていて。
自由と孤独はセットでそのどちらにも自分なりに折り合いをつけて成長する話になっていればいいな、と思ってます。
誰かを、何かを、信じたい。人間は本来疑うより信じたい生き物だそうです。
しかし、信じたいという強すぎる気持ちは、ときとして眼を覆い真実を隠します。
信じることも疑うこともある一点で判断するのではなく、振り返ったときの積み重ねでできている道が答えだといえるくらいの関係性が築けたとしたら、それが運命の相手なのかな、と。
千歳に「運命の女」って思われるの、すごくうれしくないですか?(笑)
ふたりなら大丈夫。そんなお話になっていれば幸いです。
読んでくれてありがとうございました!
inspiration by music:藤井風『Just the Two of Us』『まつり』『きらり』『damn』/秦基博『Rain』/フレデリック『サイカ』
樫野葉りん
2024.09.23