この度は『Baby, don't cry』をお読みいただき、ありがとうございました。
13話かけて幸村がフラれる話、いかがでしたでしょうか(笑)

私はいつも書きたいシーンがパッと映像で浮かび、それに肉付けたりしながらお話を作るんですが、今回一番最初に浮かんだシーンは第3話の幸村が雨の中でヒロインに「ずっと待ってたんだよ」と言うシーンでした。
あの幸村に、それほどまでに大切にされるなんて……と言う妄想です(笑)
結局、幸村は報われることはありませんでしたが、この物語の影の主役は彼でした。
そして、今回のもうひとりの主役が仁王。私が書くとヘタレというか、意気地なしというか、どうも情けない男になりがちなんですが、その弱さや儚さも仁王の魅力なんじゃないかなと考えているので、それが表現できていればと思っております……。

今作では、その他立海面々との関係性も重要視してみました。
ヒロインとブン太、ブン太と幸村、仁王と柳生、ヒロインと柳、幸村と柳などなど、それぞれの友情が書けて楽しかったです。
その中でもブン太と幸村の喧嘩&仲直りエピソードと仁王と柳生の焼肉屋エピソードは特に丁寧に書いたつもりです。
さっぱりとした男同士の友情、いいですよね!
ただ心残りは、唯一真田にだけほとんど出番を作ってあげられなかったことでしょうか(笑)

好きな相手に泣いてほしくない、笑っていてほしい、幸せでいてほしい。
幸村、仁王、ヒロイン、それぞれの想いが交差して、そして最後は彼ら自身が自分の意思で新たな一歩を踏み出すような、そんなお話にしたくて『Baby, don't cry』とタイトルをつけました。
ご都合主義な展開も非常に多く、延々と心情を語っているシーンは読むのもいささか退屈だったかと思います。
でも、それぞれの心の葛藤あってこそのお話だったので、ご理解いただければ幸いです。

迷いながら、傷つきながら、それでも弱い自分と向き合ってヒロインを受け入れることを決めた仁王。
そして、どこまでもまっすぐにヒロインを想ってくれた幸村。この話が悲しくて暗い話で終わらなかったのは、ひとえに幸村の強さのおかげです。
ヒロインの代わりに「ありがとう」と言いたい気分なので言います。幸村、ありがとう。

拙いお話ですが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。
もしよろしければ感想や意見などお気軽にお聞かせください。



inspiration by music:福山雅治『最愛』/柴咲コウ『at home』/Crystal Kay『こんなに近くで..』/未来玲可『海とあなたの物語』/BUMP OF CHICKEN『宝石になった日』



樫野葉りん